三建からのお知らせ

2022年6月18日(土)オーナー様向けzoomセミナー報告

第7回目となる研修会を開催しました。

三建に管理をお任せいただいているオーナー様を対象とした無料研修会。今回もzoomを使ったオンライン開催となりました。
要点を編集した動画をアップしていますので、ぜひご覧ください。また、要旨は下記に掲載しましたので、ご参考になさってください。

 

「地価公示から見る不動産市況」
㈱三建 代表取締役 小川征誠

まず、㈱三建代表・小川より、「地価公示から見る不動産市況」をお話しさせていただきました。

[まとめ]
 東京都内の不動産市況に関する現況についてのまとめです。

  • 住宅地は微増傾向
  • 商業地は微増傾向(中央区、新宿区など一部を除く)
  • (取引の実態として)戸建住宅、マンション販売は好調
  • 商業事務所ビルへの投資は消極的(大型店舗が入っている商業ビルはまだ空室が目立ち、銀行の融資意欲も落ちている)
  • 共同住宅への投資は積極的

[概要]
 2022年1月1日現在の地価公示価格が3月23日に公表されましたが、今年は全体的に微増傾向となりました。公示地価日本一の銀座・山野楽器さんの土地は、上昇率が前年比マイナス1.1パーセントで、コロナの収束感が出ているのか、減少幅は縮小しています(前年はマイナス7.1パーセント)。
 中野駅南口は、去年は前年比横ばい、今年は4.5パーセント増。これは中野駅周辺の再開発(アリーナ、中野区役所等の建設予定)に対する期待値がかなり込められているのではないかと思います。中野はコロナ禍においても減少がありませんでした。今回の発表でも、東京都内の商業地の上昇率が一番高かったのは中野です。¥ 弊社のある中野区野方は、野方駅北口にある公示地が昨年は前年比マイナスだったのが今年は上げ基調に転じました。中央区銀座、新宿歌舞伎町はマイナスですが、中心部以外の地域は、商業地に関しても微増傾向になっています。
 また、中古マンションや中古戸建の市場価格も今年は上昇傾向にあります。
 一方、建築コストはウッドショックと合わさって、去年の五月より木造は10パーセント以上、RC造でも7パーセント以上も建築単価が上がっています。さらに更地の価格も上昇しているため、野方における新築戸建住宅の相場が5年くらい前は5~6千万円だったのが、現在は約8千万円にまで上昇しています。新築住宅の購入を検討されている方は、住宅や建材の価格が落ち着くまで待ったほうがいいかもしれませんね。


「インボイス制度」について
うるの税理士事務所 代表税理士 沽野雅一様

 税理士の沽野先生は、資産税専門の税理士事務所に所属していた経験もあり、不動産オーナー様・地主様向けの相続対策、相続税申告、遺言の作成、家族信託の組成、所得税・法人税の節税提案といった対策コンサルティングに豊富な実績をお持ちです。
 今回は、令和5年10月1日から始まるインボイス制度に関して、不動産オーナー様への影響と対策についてお話いただきました。

[要旨]

  • 不動産に関する消費税(現行)

 現行の税制では、課税事業者と免税事業者がいます。個人事業者であれば2年前の売上が1千万円を超えているかによって、今年の納税義務が発生します。超えていない方は免税業者となって、消費税は納めなくていいということになっています。
 課税事業者は、預かった消費税額から支払った消費税額を引いた残りを国に納税します。
 不動産の場合の課税対象としては、店舗・事務所・倉庫の賃貸収入、駐車場の賃貸収入、太陽光発電収入、アンテナ基地局の収入、賃貸建物の売却収入などがあります。
 インボイス制度は、賃借人が集合住宅などの家賃は非課税のため、住宅のみを賃貸しているオーナー様には影響がありません。しかし、賃借人が法人で、店舗・事務所・駐車場などを貸しているオーナー様には影響があります。

  • インボイス導入による影響

 現行の税制では、賃借人が課税業者である法人の場合、店舗賃料の支払い時に預けた消費税など、仕入れにかかる消費税はすべて納税の際に控除できます。オーナー様が免税業者であったとしても、賃借人は契約書や領収証により消費税を負担したことにできているわけです。
 ところが、令和5年の10月からは、もしオーナー様がインボイス登録をしていない場合にはこの控除ができなくなってしまいます。10万円の賃料と消費税1万円を支払っている賃借人は、この1万円を消費税納税の際に控除できなくなるため、実質的に1万円の賃料値上げとなってしまい、オーナー様に対してインボイスの登録を求める、あるいは、消費税抜きの賃借料で再契約を求める可能性が高くなってきます。

  • 不動産オーナー様における対策方法①

「インボイス事業者として登録し、簡易課税制度を選択する」

 オーナー様がどのような不動産収入を得ているかによって対策も変わってきますが、これまでの経験でベターだと思われる対策をご紹介します。
 一つ目が、インボイスの事業者として登録することです。これにより、これまで消費税の免税業者であった方も課税事業者となりますが、併せて「簡易課税制度の選択」を行うことで、納税額をより低く抑えることができる場合があります。
 この簡易課税制度は業種によって控除額が定められており、不動産賃貸業の場合は、「受け取った消費税の40パーセント」が控除額となります。
 不動産賃貸業は基本的に経費がかかりづらい事業といえます。消費税がかからない経費でみると固定資産税と減価償却費はかからないので、それを除くと売上の20パーセント、多くても30パーセント以内に収まってしまうと思われます。それよりはこの簡易課税制度を使って40パーセントを控除したほうが納税額は抑えられるということで、不動産賃貸業の場合は圧倒的に簡易課税が有利だと思います。
(注)不動産オーナー様によっては、簡易課税を選択しない方が有利な場合がありますので、詳細は顧問税理士様等にご相談ください。

  • 不動産オーナー様における対策方法②

 もう一つのパターンとして考えられるのが、消費税抜きの金額に賃料を改めることです。コンビニなど大手企業に店舗を貸している場合などは、おそらく減額交渉があると思われるので、インボイスの事業者登録をするか、賃料を下げるかということになってきます。ただ、①の簡易課税を選択したほうがおそらく手元に残るお金は多くなると思います。

 尚、駐車場を貸していて、賃借人がサラリーマンの方のみの場合は、サラリーマンの方にはインボイスの影響は一切ありませんので、賃料をそのまま据え置くということも考えられます。

 

◆質疑応答

Q 貸家、アパートなどがすべて居住用である場合、インボイス制度は関係ないという認識でいいか?
 ⇒ はい。まったく課税売上がない方に関しては登録する必要性はありません。


Q 1階が店舗や事務所で、2階、3階を居住用で貸している場合は、1階部分に影響がある?
 ⇒ はい。もしインボイスに登録しないのであれば、賃料の減額交渉が生じる場合があります。


Q 20台程度の駐車場をすべて個人に貸している場合は、影響が少ないと考えられる?
 ⇒ はい。その場合は影響が少ないと考えられます。
 

Q その駐車場を法人にも貸していく場合、法人が「仕入れ税額控除をしたいので、インボイスを登録していない貸主からは借りない」という判断になるリスクはあるか?
 ⇒ 実際には公表している賃料よりも高い賃料を払うのと同じ意味合いになってしまうので、近隣と比べてそれでも安ければ借りると思いますし、同じ額でインボイスを受けられる駐車場があればそちらを選ばれてしまうという可能性は出てくると思います。

Q 駐車場の借主が法人でインボイスを受けられないとなった場合、その法人の会計処理としては全額を経費として扱うことになるのか?
 ⇒ はい。税抜きで2万2000円の駐車場を借りているのと同じ計算になると思われます。

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 以上、沽野税理士にインボイス制度の影響について解説していただきました。店舗や事務所を借りている法人様からすると、インボイス登録した貸主としていない貸主が混在すると、経理的作業も増えるので、登録した貸主としか契約しないことも考えられますし、個々のオーナー様の状況によって対策が変わってくることがよくおわかりいただけたと思います。
 三建では、不動産オーナー様それぞれのご事情に合わせた効果的な対策づくりのお手伝いをしています。また、沽野税理士をはじめとした、不動産コンサルティングに定評のある先生方をご紹介しています。ぜひご相談ください。
 コロナ禍がだいぶ落ち着いてきました。一日も早く、対面での研修会を再開できることを祈りつつ、引き続き有意義な研修会を開催できるよう精進してまいります。(小川)

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