三建からのお知らせ
7.22021
2021年6月19日(土)開催 オーナー様向けzoomセミナー報告
三建の小川です。2021年6月16日(土)14時より、オーナー様向けオンライン研修会を開催しました。
ご参加いただいたオーナー様、ありがとうございました。
■第6回 三建研修会
令和3年6月19日(土曜日)14時~ Zoomによるオンライン
三建が管理をさせていただいているオーナー様向けの無料研修会。今回もzoomを使ってのオンラインセミナーとなりました。今回は海外や都外から参加してくださる方もいらっしゃっいました。
まず、私、㈱三建・代表の小川より、「新型コロナウイルス感染症による地価への影響」をお話しました。
まとめとしては、
① 住宅地は横ばい傾向
② 商業地は下落傾向
③ (取引の実態として)戸建住宅、マンション販売は好調
④ 商業事務所ビルへの投資は消極的(事務所ビル、大型店舗が空くと、半年間程度は平気で空いてしまう)
⑤ 共同住宅への投資は積極的
⑥ ウッドショック、生産緑地地区問題
…といったことをさまざまな資料をもとにお伝えしました。
続いて、司法書士法人ミラシア・行政書士事務所ミラシア 代表、株式会社ミラシアコンサルティング代表取締役の元木 翼先生より、「認知症対策の切り札!今日から始める家族信託!」というタイトルでお話いただきました。元木先生は、フジテレビ「とくだね」などメディアへの出演も多く、わかりやすく家族信託のメリットを説明してくださいました。
***元木先生のセミナーの要旨は以下の通りです***
「人生百年時代」と言われるようになり、今までは考えられなかった問題が出てきています。それは、「判断能力の低下」が起きてから「相続が発生するまで」の「財産の管理」。お金が引き出せなくなってしまったり、不動産の売却や管理が出来なくなるという問題が出てきているのです。
財産の生前対策で最も重要なことは、「元気なうちに行う」ということです。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、我々専門家のところに相談に来るケースの大体「3割」が、すでに認知症になってしまっていて、そうなると家族信託や遺言などの対策が何もできない、ということになってしまうのです。
認知症を発症し判断能力がなくなると、法律上の行為ができません。
× お金の引き出し、定期預金の解約
× 不動産の売却、リフォーム、建て替え、修繕、借入
× 生前贈与、生命保険、不動産を活用した相続税対策
・・・こういったことがすべてできなくなるのです。
もし事前に対策をしてなかった場合は、「成年後見制度」を利用するしか方法がありません。
成年後見制度は裁判所の制度で、判断能力がなくなった人を保護するために、裁判所が代わりに財産管理をしてくれる人を選ぶ、ということになりますが、最近では以下のようなデメリットも指摘されています。
[成年後見制度のデメリット]
・財産が裁判所の監督下に置かれるため、本人の生活のためにしか使えない。
・後見人に専門家(弁護士、司法書士など)が選任される可能性があり、家族が自由に選べない。
・専門家がなる場合には、月に2万~4万円ぐらいの費用がかかり(財産にもよる)、それが亡くなるまで続き、途中でやめることもできない
・税金対策が一切できなくなる
・財産を守ることが目的(ロックされるイメージ)なので、好きに財産は使えなくなり、何にいくら使ったかを裁判所に定期的に報告する必要がある
成年後見制度にはいい面もありますが、同居しているお子さんが近くにいるケースだと、どちらかと言うと利用すると「負担の方が大きい」とされてます。
そこで、「もし親や家族が認知症になっても、家族だけで財産の管理ができる仕組みがないのか?」というニーズが高まっているのです。
「家族信託」とは
家族信託のご相談に来られるご家族の、典型的なケースをご紹介します。
父・82歳、母・78歳、子・二人。父が自宅で転倒して骨折して以来、人と会う機会が減り元気がないというケースです。高齢者の場合は、コミュニケーションの機会が減ると認知機能が低下します。(最近、コロナ対策で外出を避けている高齢者が増えていますが、家族が久しぶりに会ったら一気に認知機能が低下しているケースも多くあります)
そこで、お父さんの認知機能が低下してしまう前に、その財産の一部、または全部をお子さんに管理してもらうのか、ということを決めるわけです。そうすれば、認知機能が低下しても、お子さんが不動産の手続きやお金の管理ができるという仕組みが家族信託です。
わかりやすいイメージとしては、お父さんの財産が入っている箱があるとします。そのカギはお父さんしかもっていませんから、お父さんの認知機能が低下すると、誰もその箱を開けることができず、財産が凍結されてしまいます。そこで我々専門家が「新たな箱」を作って、その中にお父さんの財産を入れ、その管理をお子さんが行う、というイメージです。あくまで、「箱の中の財産はお父さんのものであることは変わらない」ということです。
「生前贈与」や「遺言書」との違い
生前贈与すると、財産は当然、お子さんのものになります。お子さんがお父さんの財産を、お父さんのために使わない可能性もあります。また、もしお子さんが先に亡くなってしまった場合は、お子さんの相続人(夫、子など)に相続されることになってしまいます。さらに贈与税や不動産取得税などの税金もかかります。
遺言書はあくまで亡くなったあとに自分の財産を誰に承継させるのか、そこだけがポイントになります。言い換えると、亡くなる前には何の効力もないので、「娘に財産をあげる」と言っていても、お父さんが生きている間は、娘さんは何もできないということになります。
本日のまとめ
① 認知症によって財産が凍結するリスクがある
→預貯金が引き出せない、不動産が売却できない
② 何も対策をしていないと、成年後見制度を利用するしかない
→ 家庭裁判所や専門家により親の財産が管理される、ランニングコストもかかる
③ 家族だけで低コストで財産を管理するには家族信託がおすすめ
→家庭裁判所や専門家ではなく、家族が財産を管理する。かかるのは初期費用だけ
不動産オーナー様の場合は、ご自宅など特に売る必要がないものについては、あえて信託する必要はないと思いますが、「収益物件」の場合はいろんなイベントがあり、その都度、判断能力が必要になりますので、やはりリスクは高いと言えます。そのリスクに対してどう対応するのか?ということを、一度はお考えになっておいた方がいいと思います。
また、今回は認知機能低下ばかりを例にしましたが、脳卒中などで急に倒れてしまって寝たきりになった場合もまったく同じことが言えます。
家族信託は初期費用もかかりますし、「あえて権限を移してまでやるか?」ということはさまざまな考えがあると思いますが、手遅れになる前にぜひご家族でご検討ください。
***セミナーの要旨は以上***
元木先生によるセミナー終了後は、オーナー様へのセミナー参加特典として、「90分間無料個別相談」を実施しました。
三建ではこれからもオーナー様のお役に立つ充実した無料セミナーを実施してまいります。どうぞご参加ください。